モノづくりや機械に興味のある方なら、“軸受(じくうけ)”という言葉を聞いたことがあるかもしれません。“軸受”は“ベアリング”とも呼ばれており、一言で説明すると「回転する部品の軸を支え、回転をなめらかにするための部品」です。何かが回転する時には摩擦が発生するため、回転エネルギーが失われます。また、回転する軸がずれてしまうことでも回転効率は悪くなります。そこで軸受を用いることにより、回転する軸を正しい位置に保ち、より少ない力で長く安定した回転を促しているのです。車輪や歯車、タービン、ローターなど、あらゆる機械には回転する軸が多くあり、必ずと言っていいほど軸受が使用されることから、“機械産業のコメ”と呼ばれているほどです。
実は日本はこの軸受について世界でもトップクラスの技術力を誇っており、精密なサイズの軸受を安定して生産できることで、日本の工業製品の品質の高さを維持してきたといっても過言ではありません。世界のベアリング生産における日本企業のシェアは3分の1を超えると言われています。さらに軸受の手法には、軸受の内側と外側に金属の球体を入れて回転させる“転がり軸受”や、軸になる部品と軸受の間に油や空気を流す“すべり軸受”、回転部分を磁気で支える“磁気軸受”など、いくつかの手法があります。