坪井先⽣の専⾨研究分野は、「表⾯テクスチャリングを⽤いた摺動特性の改善」。材料の表⾯に微細な凹凸加⼯を施すことで、より滑りやすくしようとする研究です。「表⾯がツルツルの⽅が滑りやすいのでは?」と尋ねると、先⽣が取り出したのが右のサンプル。表⾯に⼩さな⽳が並んでいるのがわかりますか? この⽳が重要なのです。材料が摩耗することで発⽣する“摩耗粉”は、さらに摩耗を促進する厄介者ですが、⽳の中に取り込んでしまえば、その影響は抑えられます。また、擦れ合うにつれて減っていく潤滑油をストックしておく場所としてもこの⽳が役⽴ちます。さらに⽳の配置により潤滑油の圧⼒が⾼まって材料が浮く作⽤が⽣じ、より強い⼒に耐える効果もあるとのこと。
先⽣は、材料や潤滑油の種類、摺動の速度や⽅向などに応じて、どのような表⾯テクスチャが効果的かを、コンピュータシミュレーションによって明らかにしようとしています。「トライボロジーは総合科学であり、その研究には多くの知識が必要です。対象とする機械は何か、材料は接しているか浮いているか、材料や潤滑油の種類・特性は、化学反応は起こるのかなど、結果に影響する要素は限りなくあります。困難は尽きませんが、明らかになった知⾒は産業界で直接役⽴つことも多く、それが研究のおもしろさと⾔えます」と坪井先⽣は語ります。