近年のものづくり産業においては、部品の高機能化、新機能の付与、製造コストの低減、環境重視が強く求められています。ことに金属材料が過酷な条件に晒される自動車部品、工具部品ではさらなる耐久性と環境に配慮した材料開発の重要性が増しています。その中でも特に注目されているのがDLC(Diamond-like carbonダイヤモンド様炭素)。硬度や耐久性など多くの優れた特性を持ち、半導体基板の材料をはじめ様々な用途に使用され、盛んに研究されています。ものづくり産業のほか、医療用メスの表面にコーティングされたり、身近なところでは男性用髭剃りの刃にも使われています。また、ガスバリア性が高いため、風味を長持ちさせるペットボトル飲料の内膜にも使われています。そんなDLC研究の最前線に立つのが、大同大学工学部電気電子工学科の橋本先生。先生は新たなDLC作製法の試みとして、非常にシンプルな装置で高品質・高性能かつコスト的にも優れたDLC膜をつくることをめざしています。「この研究はさまざまな可能性を秘めていますが、高温下で使用可能な半導体用基板などをコストを抑えて作ることができれば、カーボンニュートラルに大きく貢献する電気自動車の普及が進むと思います」と橋本先生。