屋外スポーツの場合、アスリートのパフォーマンスは天候などによって左右されます。なかでも大きな影響力をもっているのが気温です。もちろん、気温以外にもさまざまな要因が複合的に関係しているので一概にはいえません。しかし、日頃からトレーニングを積んでいるマラソン選手であっても、風量やその他の条件は同じでも気温が低かっただけで大きく記録を落としてしまう、というケースもあるのです。そこで環境温度、特に寒冷環境下での人体の運動能力について研究しているのが、大同大学情報学部総合情報学科の伊藤僚先生。
「たとえば雪山で遭難して、凍傷や低体温症になっているなどの極端な状況をイメージしてもらうと、寒冷環境では人の運動能力が落ちるということは想像しやすいと思います。しかし、マラソンなどを思い浮かべると、少し寒いくらいのほうが気持ちよくて走りやすいと感じられる方も多いのではないでしょうか。実際はどうなのか、データを収集し、科学的に分析してみようとこの研究を始めました」
伊藤研究室では環境温度が人の運動パフォーマンスにどのような影響を与えているか、さまざまなデータを収集・分析し、生理学の観点からその仕組みなどを明らかにしようとしています。