世の中に自動車が登場してから100年以上、自動車は走行性能はもちろん、安全性や乗り心地においても目覚ましい発展を遂げてきました。自動車メーカーをはじめ、さまざまな研究者たちが、あらゆる部品の改良を続け、電子制御なども組み込みながら、自動車を快適で便利な乗り物へと進化させてきたのです。そして現在も、日々さらなる改良が続けられています。大同大学工学部電気電子工学科の川福 基裕先生も「より快適なクルマ」への挑戦を続けるひとり。川福先生は、ハンドル操作に電子制御を加えることで、誰でも乗り心地のよい運転ができるクルマを目指しています。「山道の悪路を走るテストドライバーのクルマに同乗したときのことです。彼が『今から助手席の人が快適な運転から後部座席の人が快適な運転に変えますね』と言うと、それまでロデオマシンに乗っているようだった後部座席の人の揺れがピタッと止まり、反対に快適そうだった助手席の人の頭がみるみる揺れだしました。運転者の操舵でこうも違うものかと驚きました。そしてテストドライバーが感覚で行っているハンドルの微調整を電子制御でできるようになれば、より乗り心地のよいクルマが開発できるのではと考えたのです」こうして川福先生は、車の操舵と振動の関係を解析し、振動を抑える研究を始めたと言います。