録音スタジオではなく、コンサートホールなどで収録された音楽をCD化したもの、いわゆる「ライブアルバム」を聴いたことがある人は多いでしょう。その場の観客の拍手や歓声まで収録されており、ちょっとしたピッチの違いや、歌手であればアレンジの効いた歌い方など、スタジオ収録の音楽とはひと味違う、その場でしか聞くことができない音楽を聞くことができます。「行きたくても都合がつかずコンサートに行けなかった」などといった人でも、まるで自分がその場にいるかのような気分が味わえて、とても便利で魅力的なメディアです。でも、実はそのライブアルバム、実際にコンサートホールで聞く音とは少し、いや、大きな違いがあるのです。「えっ、私はコンサートにいるような気分で聞いていたのに」と思われたみなさん、それは間違いではありません。ライブアルバムは通常の音源とは違う臨場感、つまり“会場の雰囲気”を感じることはできます。しかし、厳密に“音”という意味でいえば、コンサートホールで聞く音とは違う音として私たちには聞こえています。そのキーワードとなるのが「音場」そして「響き」です。