2020.04.01 お知らせ
【新入生のみなさまへ】大同大学学長からの告辞
本年は、「令和」最初の入学式を挙行する予定でしたが、新型コロナウィルス感染症拡大のため、みなさんの健康を第一に考え入学式を中止するという苦渋の決断を行いました。
本来ならば、入学生の皆さんを前に伝えるところですが、ここに、工学部515名、情報学部313名、大学院工学研究科修士課程20名、大学院情報学研究科修士課程2名の入学を許可することを宣言します。
大同大学へ入学された皆さん、大学院修士課程へ入学された皆さん、入学おめでとうございます。
そして、今日まで入学生を育んでこられたご家族、関係者の皆様に心よりお祝いを申し上げます。
さて、大同大学の理念は実学主義です。「実学」とは、実際にものを見たり、触れたり、作ったりすることです。もちろん、理論をおろそかにするということではありませんが、「実学」はもの作りの原点です。大同大学は五十年以上にわたり実学の教育と研究を通じて産業と社会に貢献することを理念としてまいりました。
ここで大同大学の歴史に少し触れたいと思います。大同大学は、中部産業界の要請を受け、大同学園が五十六年前に設置した大学です。五十六年前の日本は第二次世界大戦後の復興期であり、技術者が極端に不足していました。そのような背景のもと、中部電力、名鉄などの中部を代表する企業の御支援を頂き、さらに現在の大同特殊鋼の前身である大同製鋼から土地と建物の大部分をご寄付頂き、大同工業大学が誕生しました。そして、2009年に大同工業大学から大同大学へと校名を変えました。
学歌は大学の校歌に相当するものです。大同大学の学歌は、昭和初期の新興俳句の指導的存在であり、現代俳句を牽引した山口誓子の作詞です。最初の歌詞は、「木曽の流れは、長くして、電力を生み、製鋼と学校起る」です。木曾の流れとは木曽川のことで、かつて、木曽川の流域に多くの水力発電所が建設され、この電力を使った産業が興ったことを意味しています。
この歌詞の中にあるのが大同電力で、大同学園を設立した大同製鋼のルーツです。
大同電力を築いた人は、1万円札に描かれている福沢諭吉の娘婿である福沢桃介です。福沢桃介は、木曽川流域の電力会社を統合し、新しい発電所をつくり、大同団結の趣旨を生かすため「大同電力」をつくりました。これが大同大学の「大同」の由来です。大同電力は後に中部電力、関西電力、大同製鋼など多くの企業に分かれました。
大同大学は、
・社会人として活動するために必要な能力を身につけている
・豊かな教養を身につけている
・確かな専門性を身につけている
・豊かな想像力を身につけている
以上の四つを学位授与の方針としています。
大学生活は、高校生までの学生生活と社会に出るまでの間の、人生で最も貴重な時間であるといえるでしょう。
高校生よりも自由がありますが、大人としての責任もあります。しかし、社会に出てからでは体験できない、時間や利益に縛られない、自分の考えで有意義な生活が送れます。
大学生活で、勉学やスポーツ、趣味などいろいろな努力をし、経験したことは社会に出てからの貴重な財産となります。
大同大学は、そのような財産を築く皆さんのために、最大限の援助を行ないます。
また、どのようなものでも最も重要なものは基礎です。土台が頑丈でなければ、その上に高く積み上げることは不可能です。
勉学も同様です。最先端の技術や研究も、それを支えているのは土台となる基礎学問です。基礎学力に不安を覚えた時は、教育開発・学習支援センターに積極的に相談に行ってください。
一方、学生生活に不安がある場合、指導教員に相談に行ってください。相談にいけばアドバイスを惜しみません。強化クラブはもちろんのことクラブ活動も活発です。入りたい部活がなければ自分で作ってください。趣味に没頭するのも良いでしょう。何事も前向きに挑戦してください。
これから、さらなる情報社会の進展にともない、社会は大きな変革の時期に入ります。また、グローバル化はますます進むでしょう。そのような社会の変革に対応できるように、自分自身を磨いてください。
皆さんが大同大学で、貴重な実りある大学生活をおくることを心から願っています。
私たち教職員と在学生は皆さんを心から歓迎致します。
令和二年四月一日
大同大学長 神保 睦子