• AppStoreからダウンロード
  • GooglePlayで手に入れよう
  • Facebook
  • Twitter
  • Line
  • instagram
  • TOP
  • NEWS
  •    
  • 先生の活躍
  • 『Nature』誌に研究論文が掲載されました/酒井陽一名誉教授、髙山努教授

NEWS

2022.07.08 先生の活躍

『Nature』誌に研究論文が掲載されました/酒井陽一名誉教授、髙山努教授

酒井陽一名誉教授、髙山努教授(教養部化学教室)の研究論文が、総合学術誌の『Nature』誌(電子版)に掲載されました。これは、京都大学の大木靖弘教授らのグループとの共同研究の成果で、自然界の触媒(酵素)を模倣する金属-硫黄クラスター錯体を合成し、窒素分子(N2)の還元反応を実現しました。

大気の主成分であるN2の化学変換は、アミノ酸やDNAに含まれる窒素原子を供給するために必要な一方で、非常に難しい反応として知られています。自然界では、一部の微生物に存在する酵素ニトロゲナーゼだけがこの役割を担い、Fe-Mo-S-Cから構成される酵素活性中心(FeMoco)を用いてN2を還元します。FeMocoの触媒機能は、持続可能社会に向けた新しいN2還元法を開発する重要なヒントになりますが、複雑なFeMocoは構造と機能の関係を理解するのが難しく、またタンパク質から取り出すと触媒機能を失います。FeMocoに関連する従来の金属-硫黄化合物もN2を還元できなかったことから、N2還元作用の鍵となる要素は未解明のままでした。本研究では、N2が結合したFeMocoの予想構造およびタンパク質の一部機能を模した[Mo3S4Fe]錯体を合成し、これを触媒としてN2の還元反応を達成しました。この結果は、金属-硫黄化合物の可能性を切り拓くと同時に、自然界に学び、超えるための大きな第一歩といえます。

この研究において、酒井名誉教授、髙山教授はメスバウアースペクトルによる錯体の電子状態の分析を担当しました。

論文のタイトルと著者などの情報
Ohki, Y.; Munakata, K.; Matsuoka, Y.; Hara, R.; Kachi, M.; Uchida, K.; Tada, M.; Cramer, R. E.; Sameera, W. M. C.; Takayama, T.; Sakai, Y.; Kuriyama, S.; Nishibayashi, Y.; Tanifuji, K., Nitrogen Reduction by the Fe Sites of Synthetic [Mo3S4Fe] Cubes, Nature, 607, 86-90, DOI: 10.1038/s41586-022-04848-1 (2022).

Nature誌のWebサイト
https://www.nature.com/articles/s41586-022-04848-1
https://rdcu.be/cQ644(全文閲覧可能、ただし印刷・ダウンロード不可)     

この記事をシェアする